FineArt-氷河とシロイワヤギ.jpg

氷の国のシロイワヤギ

キーナイ・フィヨルド国立公園 アラスカ 2016

5 x 7 in / 12.7 x 17.8 cm / Open Edition
8.5 x 11 in / 21.6 x 27.9 cm / Open Edition
13 x 19 in / 33 x 48.3 cm / Open Edition
16 x 24 in / 40.6 x 61 cm / Open Edition
20 x 30 in / 50.8 x 76 cm / Open Edition
32 x 48 in / 81.3 x 122 cm / Open Edition


 双眼鏡で遠くの山あいをなぞると、残雪が途切れたところをいくつかの白い点が動いている。マウンテンゴートだ。まだずいぶん遠い。双眼鏡を三脚に乗せて、視界がぶれないように観察する。どうやら、僕のいる方向にゆっくり歩いてきていることがわかった。仔を連れていない群れで、十頭くらい確認できる。

 マウンテンゴートを見るために僕が登ってきたハーディング氷原の登山ルートには、ある地点に秘密の時間がある。登山者やハイカーは、たいてい朝日の昇る七時頃から歩き始めるのだが、その出発だと、高さ約六百メートルの開けた台地にさしかかる頃には、陽は高くなっている。僕は、動物が明け方にだけ姿を現すことを知っていたため、暗いうちから登り始めていた。その秘密の時間は、日の出から約一時間しかない。

 ちょうど陽が山の稜線を超え、光が雪面に直射し始めた頃だった。群れが突然斜面を駆け出した。まっすぐに大きな跳躍をする者、ダンスを踊るようにその場でくるくる回るものもいる。体から冬毛を振り落としながら、初夏の陽気に心が躍る。マウンテンゴートは表情こそ変えないが、体いっぱいに嬉しさを表現していた。僕は他に誰もいない秘密の空間で、誰にも邪魔されずに自然体でいるマウンテンゴートの姿を、撮影し始めた。

 
 

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