Project Island
Wolves
〜 縄文オオカミ と アレキサンダーオオカミ〜
中島渉が進行中のメインプロジェクト
かつて日本列島には 人とオオカミが共存する時代があった
人が増えてゆくにつれ すべてのオオカミが姿を消したとされている
この事実は 100年の歳月のうちに忘却されていった
悲しき温帯の森
日本でオオカミが姿を消したのは、人間が邪魔な動物として排除したからだった。
オオカミがいなくなったのは、1905年のことだと記録されている。
それで日本の森に、いまオオカミはいない。
日本は急速に近代化した国であるにも関わらず、いまでも国土の68%が森林であるという誇れる事実がある。しかしその裏に、オオカミが絶滅し、ニホンジカが激増するという大きい破壊の予兆がある。
この事実が、僕をアラスカに渡らせた最大の要因となった。
オオカミは
生きている
島に生きるオオカミ
- 旅の目的 -
僕は、アラスカにオオカミが生きていることを知ったから、日本を出てアラスカに移り住んだ。
オオカミはずいぶん探した。情報も集めた。しかしアラスカの山河をわたり歩くなかで、オオカミを見つけたことは一度もなかった。アラスカに来て5年、あきらめかけたころに、南東アラスカの島々の森にオオカミが生きているという事実を知った。僕は、自分の中の何かとてつもなく深い部分を刺激され、のめり込んでいった。
僕は、かつて日本に生息した縄文オオカミと、いま現在アラスカの島々に生きるアレキサンダーオオカミの暮らしは、かなり近いものであったはずだと仮定して旅をスタートした。(島オオカミについて)
そんなの空想だと言われれば、それを現時点で反論することは正直できない。しかし僕は確信している。
そして、その目的は日本にかつて生きたオオカミの面影を見るためにある。
南東アラスカの島々
オオカミ、シカ、クマ以外に大きな動物はいない
人はまばらに住んでいて静かで
森は深く起伏に富み 川は清らかだった
歩いてみて初めの印象は、ここが日本の森の風景とよく似ているということだった。この土地は、一般に想像される極地アラスカの風景とは違う。
オオカミが野山を駆けめぐる、想像していた古き日本の自然風景がここにはある。
何もわからない南東アラスカの密林のなかで、地元の人や現地の研究者に協力をもらいながら調べをはじめた。
森を歩きまわるうちに、かつて日本に生きていたオオカミが、その暮らしぶりを変えることなく、今もどこかに生きているはず。そう思うようになっていった。
島オオカミの棲む森
多様性に満ちた森は、サケが海から運んできた栄養によって深まり、光と闇が均質に存在する安定した場所であった。
縄文オオカミを独自の視点から追う
科学的根拠の究明
アイルランドのトリニティ・カレッジで教鞭をとる友人を訪ね、オオカミの遺伝解析の可能性を話し合った。
アラスカに戻ってしばらくすると、その友人から朗報をもらった。
「中島、縄文オオカミの骨が手に入ったぞ」
最新の技術を用いると、骨サンプルからその動物が何を食べていたのか、大まかに知ることができる。
加えて、縄文オオカミのサンプルと、アラスカの島オオカミの毛根から遺伝的情報を採取し、その共通項を調べることができる。
もちろん、サンプル数は全くたりない。つまり、少数調べあげたところでその動物の生態的特徴として帰納させるなど、程遠い。
しかしこのアプローチによって、現在北米で注目を集めているSea Wolves(海辺のオオカミ)の生態を明らかにするヒントが掴めるかもしれない。
この解析をなんとしても履行しなければ…。
写真によって甦る縄文オオカミ
島に生きるオオカミの生態をより深く知りたい。その生き様を見たい。このことは、日本にかつて生きたオオカミの面影を探ることにつながる。我々はもう、生きものを絶やすような真似をするべきではない…。僕は縄文オオカミが最後まで生きていた奈良吉野の森を同時にしらべながら、考古学的背景と、アラスカに生きる実態の側面から、島オオカミに迫ってゆく。
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FAQ
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